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モヤモヤさまぁ~ず2のプロデューサーに学ぶヒット企画の作り方

この記事の所要時間: 103

 

モヤモヤさまぁ~ず2は、2007年からテレビ東京で放送している、さまぁ~ずがブラブラと町歩きをする人気番組です。

個人的にもモヤさまは大好きで、毎週欠かさず見ている数少ない番組の一つです。

モヤさまファンなら分かって頂けるでしょうが、大江麻理子アナウンサーが卒業した回は、それはもうショックでショックで2~3日寝込みそうになったものです。

いったいどのようにして、ヒット番組であるモヤモヤさまぁ~ず2は誕生したのでしょうか?

そこで本日は、モヤモヤさまぁ~ず2のプロデューサーである伊藤隆行さんの企画力についてご紹介させて頂きます。

企画する意味

企画するということは、簡単にいえば、実現したい事を実現する方法を、立案したり、計画したりする事を指して言います。

企画はひとつのタイトルから始まる

伊藤プロデューサーは、企画を考えるときまず最初に思い浮かぶのが、「これを見てみたい」と思う「タイトル」であったり、「一枚の画」だったりするといいます。

まず最初に企画の「核」となる部分を見つける事によって、その先の発想も湧いてくるといいます。

タイトルから発想した企画の場合

バラエティ番組で人気のジャンルに「大食い」があります。

ギャル曽根さんが、高速のインターでただただ食べまくる姿をゲストが見ているというだけで番組が成立している状況からも、「大食いバラエティ」のニーズがあることが分かると思います。

一方で、「小食いバラエティ」という番組は聞いたことがありません。

企画づくりは、ヒット企画を逆さにしてみるなど、軽い発想の転換から、スタートします。

ただし、このままタイトルを逆さにしただけでは、ただの悪ふざけで終わってしまいます。

そこで、ここから「どうやったら成立するのか?」「どんな事をしたら笑えるだろうか?」といった風に、元々の悪ふざけから企画を膨らませていきます。

ありきたりなことをしていても注目は集まらない為、ここでいう「小食いバラエティ」といった自分の中で魅力的だと感じたタイトルを軸にして、必要な企画を肉付けていくというのが企画を作りの基本となります。

例えば、伊藤プロデューサーが過去にプロディースした番組に『人妻温泉』という番組があります。

この番組は「タイトル」から発想した企画だといいます。

当時は、ちょっとした”人妻ブーム”があった時期で、構成作家などの間でも、人妻ネタで盛り上がりを見せていました。

伊藤プロデューサーは、それを聞いていて、気持ち悪いが、何か引っかかると感じたといいます。

後にそれをタイトルに持ってきたのが『人妻温泉』だったという事です。

とはいえ、「人妻」という響きは、バラエティ番組のタイトルとしてはふさわしくありません。

そこで、伊藤プロデューサーは、人妻をバラエティらしくするにはどうすればよいかと考え、テレビ東京の特徴である「旅番組」と組合せる事で、番組企画を生み出しました。

「人妻温泉」の番組内容は、温泉に浸かるのではなく、家風呂に入り、登場する人妻は湯船に浸かることはなく、旦那のいない間にやってきた悩み深い男性達の身の上話を聞きながら、ただただ背中を流すというものでした。

内容的な面白みは少ないですが、「人妻 温泉」というなタイトルが付いていることで、「確かに人妻は出てるし、お風呂に入っているから温泉館もあるな」と、笑って納得して貰えたそうです。

一枚の画から発想した企画の場合

モヤモヤさまぁ~ず2は、伊藤隆行プロデューサーがプロディースした代表作です。

なんとか、さまぁ~ずと仕事がしたかった伊藤プロデューサーは、さまぁ~ずの大竹一樹さんに、

「企画を持って行きたいんですけど、何かやりたいことはありませんか?」

と質問したそうです。

その時、大竹さんからあった返答が、「やりたいこと?歩きて~かな。」だったといいます。

大竹さんの一言で、伊藤プロデューサーの頭には、商店街を歩いているさまぁ~ずの画が浮かんだといいます。

商店街を歩いていたら、イヤなおじさんが現れ、逃げようとする大竹さんや、それを「逃げんじゃねーよ!」ツッコミを入れる三村さんの様子が、はっきりと浮かんだそうです。

今に続く「モヤモヤさまぁ~ず2」の「核」は、この「一枚の画」に秘密が隠されていたという事ですね。

核になるポイントは一つに絞る

伊藤プロデューサーは必ず、企画の一番の核となる部分を1つ決めて、それを必ず守るといいます。

極論すれば、核さえ決まってしまえば、それを守れば企画自体は完成するものです。

「核」は、「画」でも「タイトル」でも「一行のコンセプト」でも「最終的な着地点」でも何でもよく、自分の心に耳を傾け、絶対に曲げられないもの1つに絞る事が大切です。

企画書を書く場合でも、ダラダラと長く書けば良いものではなく、真に伝えたい1行に収まるものでよく、残りは体裁を整えるために、言葉を足したものにすぎません。

軸がいくつもあると主張がブレて響かなくなってしまうため、核を1つに絞り、楽しめるポイントがそこから派生させていくのが基本となります。

自分の持つ核は1つを信じることから、企画は始まるものです。

タイトルに全てを注ぎ込む

番組タイトルは、番組にとっての命であり、全てを表わすと言っていいほど大切なものです。

伊藤プロデューサーも、番組タイトルを最初に考えることもあるほど、番組タイトルにはこだわりを持っているといいます。

「モヤモヤさまぁ~ず2」に関していえば、「モヤモヤさまぁ~ず1」は存在しないにも関わらず、人気があるからシリーズで続いているんだと、途中から見始めた視聴者に感じさせる事を狙って付けられたものです。

「モヤモヤさまぁ~ず2」には、他にも伊藤プロデューサーの熱いメッセージが隠されています。

伊藤プロデューサーは「怒りオヤジ」という番組のプロデューサーをしており、そのパート2の司会をさまぁ~ずにお願いしたいと考えていたといいます。

ところが、他局とのトラブルがあり、さまぁ~ずの司会は実現することが出来なくなってしまいました。

結局、「怒りオヤジ」の司会は、おぎやはぎの矢作さんとカンニングの竹山さんとなり『怒りオヤジ3』としてスタートすることとなりました。

本来なら「怒りオヤジ2」なのだが、さまぁ~ずの司会が実現しなかったため、「2」を欠番としたのです。

そして、その欠番である「2」を、後に企画した「モヤモヤさまぁ~ず」に受け継いだという隠れた意味があったというわけですね。

看板は制作者にとって意味があるべきものであって、想いの全てを詰め込むくらいの気持ちが必要であるというのが、伊藤プロデューサーのこだわりだといいます。

企画は何をやってもかまわない

伊藤プロデューサーは、過去に数多くの企画を考え、いくつかは採用され、多くはボツにされてきたといいます。

伊藤プロデューサーが最初に出したのは、『竹中直人のすんごいのね~』という企画です。

伊藤プロデューサーは、当時、竹中直人さんと全く面識は無かったようだが、勝手に名前をつけていたといいます。

企画の内容は、一般人が出演し、自分がいかに凄いかを自慢し、竹中直人さんが「すんごいのね~」の一言で片付けるというシンプルな内容です。

「人の自慢話って聞いていられないよね。」というのをテレビでバカにしようというのが核だったようですね。

当時、この企画を上司に出した時には、「おまえ、こんなので金取れると思ってんの?」と酷評されたといいます。

伊藤プロデューサーの中には、「線引きやらジャンルやらの区切りなんてどうでもいいよな」といった思いがあるといいます。

当時、テレビ東京では、「ドキュメンタリー人間劇場」という番組が放送されていました。

伊藤プロデューサーは、その番組のある回で、障害者が何を思って生きているのかに焦点を当てた、ドキュメンタリーを放送する回を見たそうです。

暗い番組なだろうと思い見ていた伊藤プロデューサーだったが、予想に反して出演者は非常に明るいものであったといいます。

そして、番組の最後のに障害者の方にした質問と、その答えを聞いた伊藤プロデューサーは衝撃を受けたそうです。

番組の最後に、障害者の方に「人生で一番難しいのはなんですか?」という質問がされました。

その質問に対する答えは、ボソッと一言…「人かな…」というものでした。

それを見た伊藤プロデューサーは、非常に面白いと感じたといいます。

障害者という立場上、今までの人生で、色眼鏡で見られるなど色々な経験をしてきたことでしょう。

ところが、その言い方や、そのキャラクター、吹っ切れた感じがなんとも微笑ましく、ドキュメンタリー番組がまるでバラエティ番組に見えてしまうほどの衝撃を感じるものでした。

ドキュメンタリーなのかバラエティなのか、それは見る人の自由であり、企画そのものに垣根なんて存在するものではありません。

企画は何をやってもよく、物事を勝手にジャンル分けするのは可能性を狭めるだけだということですね。

「くだらない」と言われるためにやり切る

伊藤プロデューサーは「くだらない」と言われる事に重きを置いており、なんだったら、褒め言葉であるとも考えているそうです。

例えば、お宝か何かが出てきそうな雰囲気のある場所を選んで、ただただ30分間スコップで掘るだけのものを放送するといった、くだらないと言われそうな企画を立ててみます。

30分間穴を掘っている様子を、ただただ見る番組といったように一見すると、「この企画はくだらなくなりそうだ」と感じるのであれば、やり切る価値はあるといいます。

そして、やると決めたなら振り切って番組を作り、「くだらない」と評価される事が大切だという事ですね。

企画には必ず逃げ道を作る

伊藤プロデューサーが企画をすると「攻めてるね」「無茶やるね」とよく評価されるといいます。

攻めたり無茶をする企画に真剣に取り組めば取り組むほど、追い込まれて行くケースは多いものです。

そんな時は、伊藤プロデューサーは必ず”逃げ場”を作るようにしているといいます。

今田耕司さんと東野幸治さんが司会を務める「やりすぎコージー」という番組も、伊藤プロデューサーが担当している番組の一つです。

その番組の企画で「モンロー祭り」というものがありました。

番組に呼んだセクシー女優さん達を、「モンローちゃん」と呼び、ちょっとエッチなゲームに励んでもらうというのが番組の趣旨でした。

そのコーナーのタイトル名を「お口 に出してイッちゃって!」とし、進行役である大橋未歩アナウンサー思い切り叫ぶシーンがありました。

伊藤プロデューサーは、普段清楚なイメージで働いているアナウンサーにどうやってエッチな言葉を言わせるかを真剣に考えたといいます。

そこには、「タイトルコールを読んでもらっているだけで、セクシーな事を言わせているわけではない」という逃げ場を用意していたそうです。

追いつめられた時に、「別に命をとられるわけじゃないんだから」と笑って済ませられる余裕を持つことで、面白い企画は生まれるという事ですね。

役割を果たしたら遊んで構わない

番組の企画していると、会社の事情などにより、どうしても伝えなければならない事が出てくるものです。

そのような課題を与えられた場合は、必ず真正面から取り組み、相手の要求に全て回答する必要は無いと伊藤プロデューサーはいいます。

大切なのは、求められている「核」を見極め、その部分を外さないということです。

核を外しさえしなければ、後は自分の得意分野の中で、遊び心を持って行なう方が、伝わることも多いものだという事ですね。

企画の本分を殺さない

テレビの世界では、苦労して通った企画の番組が放送されたとしても、残酷なほど悪い視聴率を叩き出してしまう事があるものです。

自分が面白いと思って出した企画が全否定されてしまうと、企画した人間のショックは計り知れないものがあります。

そのような場合でも、伊藤プロデューサーは、「こうしたい」と最初に決めた「核」は、絶対に曲げてなならないといいます。

本気で勝負し、負けたのであれば、潔くその場を去って次に進むことです。

延命するだけの目的で、自分が思っていないような事を適当に提案するような事をしたら、節操がない人と評価され、その後、成功するとは思えないと、伊藤プロデューサーはいいます。

浮き足立っていたり、軸足がフラフラとしている人は、一瞬はいい結果を出せたとしても、着陸することが出来ずに、次の一歩も踏み出す事が出来ないという事ですね。

誰でも自分の中の1%は天才

「誰でも自分の中の1%は天才だけど、誰でも自分の中の99%は完全に凡人である」というのが伊藤プロデューサーのモットーだといいます。

伊藤プロデューサーの考え方は捨てる事が基本となっています。

企画を立てる際にも、「タイトル」か「一枚の画」を想像し、そこから「核」となるテーマ1つに絞り込んでいくといいます。

あれこれ詰め込み伝えようとしても、メッセージがブレ、結局何が言いたいのか伝わらなくなってしまいます。

オバマ大統領は、「Yes We Can」というフレーズ一つで、大統領選を勝利したと言っても過言ではありませんよね。

それだけ「核」に絞るという事には力があります。

自分の中にある1%の天才の存在を、信じることが大切です。

そして、残りの99%の凡人には目もくれず、天才の1%に全ての時間・才能・努力を集中するわけです。

なぜなら、その天才の1%が自分だけの「核」なわけですからね。

 参考図書:伊藤Pのモヤモヤ仕事術
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