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日本人が金持ちをバカにしてきた理由
この頃、何か不当に儲ける人がもてはやされまして、特にテレビなんかが、これは具体名は挙げたくないんですが、ホリエモンさんが非常に大きく儲けたりいろいろなことをされたときに、こういう話が1回出てきたわけですね。
あの頃何とかファンドという名前の付いた方もおられて、儲けるということが非常に大切であるという新しい価値観、これも人によって変わるわけですからそれはそれでいいんですが、
最近では月旅行に行くとか、そういう話が華やかな起業家の間であって、特にそういう経営者が正しい経営者だというような風潮もあるんですが、もともと日本人というのは金持ちをバカにしてきたわけですね。
なぜ日本人が金持ちをバカにしてきたかというのは、これは貧乏人のひがみじゃなくて、ちゃんとした制度、例えば士農工商とあったときの武士なんかも、金持ちをバカにしていたわけですね。
だから別段ひがんで、自分で貧乏だから金持ちをバカにしてきたわけじゃないんですね。
日本人が持っていた元々の文化
基本は、日本人というのは日本列島に住んでいたこともあり、ほぼ単一民族、単一民族と言うとアイヌはどうだとか言うわけですが、私もアイヌの研究を非常に長くして、アイヌ人のほうが偉いと言って尊敬しているわけですが、そういう話じゃないんです。
そんな1個1個の差別とか、そういう問題ではなくて、日本人というのはもともとみんなで働きみんなで楽しむという、そういう文化なんです、もともとが。
みんなで働くというのは世界では特殊な考えで、憲法に勤労の義務なんてあるわけですよ。
もちろんこれは努力目標ではあるんですが、勤労の義務があるからニートはいけないじゃないかって話があるほど、そういう話が出てくるほど、勤労の義務というのは何だか変なところもあるんですね。
親の遺産で生活しちゃいけないということもあるわけで、本当ですかという感じがするんですが、それをあえて憲法に勤労の義務というのを入れたのは、戦後日本人が頑張って入れたんですけど、それはやっぱりみんなで働くということなんですよね。
私たちがご飯を食べる。
ご飯を食べるには、お米を作る人がいるからごはんが食べられる。
これに代表されるわけですね。
畳の上で生活する、それは畳職人が畳を作ってくれるからだと、お金があるからといって何もしなくていいというわけじゃない。
全員で働いて全員で楽しもうじゃないかということなんですね。
例えば家族5人なら、子供は別にして家族5人でみんなで働いて、そのお金を1回全部プールして、それでみんなで庭でバーベキューをする、そういうイメージが日本人なんですね。
出店手数料でボロ儲けする日本の社長
そうしますと、金持ちというのはどういうことかと言うと、例えば今話題となっているような通信販売の洋服の販売なんかですと、まず洋服を売る人、社長以外の洋服を売る人は、例えば普通の賃金、300万から500万くらいをもらっているとしますね。
買うほうも一生懸命働いて300万から500万くらいの年収があって、そこから買うわけですね。
ですから売るほうも一生懸命売ってる、買うほうも一生懸命買ってる、その時に例えば2000円の服だったら、通信販売でずらすだけですから、8%、2000円ですから160円くらいは儲けてもいいけど、それ以上儲けちゃいけないですね。
一説には2300円くらい儲けてたという話もあるんですが、そういうことをするということは、結局買い手にとっては、本来買える値段より高く買わなきゃいけない。
日本人の考えと完全に反する考え方
それから売るほうの社員も、通常の300万から500万くらい収入を得て仕事をする、ところが本当は不当な利益なので、社長だけに1年に80億円の税金を納めたと言ってますから、160億円くらい稼いだと。
それはいくらなんでも、お金を返さんといかんわけですよ。
それはやっぱりみんなで働いてみんなで楽しむわけですから、もちろん苦労に応じてお金を分配するのはしょうがない。
うんと働いた人にはうんとお金が行かないと、これはやっぱり不満がたまりますからね。
それはあるんですが、買うほうがだいたい300万円から500万円くらいで一生懸命働いてやっているのに、値段が不当についていて、それはノーベル賞級の発明をしようが新しいビジネスをしようが才覚があろうが、そういうことじゃないんですね、日本人の考え方というのは。
みんなで働いてみんなで楽しむわけですよね。
そしてやっていくっていうのが日本の文化だったわけです。
お金が人間をダメにする
それからもう1つの考え方は、お金は人間をダメにするんだっていう意識が非常に強いんです、日本人は。
確かに見てるとそうです。
お金持ちっていうのは、やっぱりまず傲慢になります。
それから怒りっぽいですね。
それから人を見下すようになるっていうような、いろんな症状が、病気の症状みたいにして現れますね。
俺はお金があるんだから、なんだお前ちょっとそれやれよ、っていうようなものですね。
非常に居心地が悪いグリーン車
私は時々グリーン車に乗るんですけど、グリーン車というのは居心地が悪いんですよ。
座席はいいんですけど、みんなが怒りっぽいんですよ。
時には隣に座ると文句を言うことがあるんですよ。
嫌な顔をするんですよ。
隣に座って嫌なら隣の席も買い占めろって言うんだけど、そんな感じなんですね。
武士にお金を貯めさせなかった理由
もちろんこの封建時代は、武士にはお金をあまり貯めさせなかった。
なぜかと言ったら、お金が武士の心をダメにするからですね。
現在でもそうですよ。
それから現在はそれに欧米的な考え方が入って、例えば私の関係する会社なんかでも、ちゃんと社是にはこの会社は社員のために、社会のために貢献するんだとこう書いてあるにもかかわらず、
銀行の人とかそういう人が来ると、株主にもっと還元しろと、金出してるんだから、とこういうわけですね。
ところが、日本の文化にはそういうのはないんですよ。
お金を出してくれた人には相応のお礼はするが、主にはやっぱり会社の従業員のために、社会のために会社をやり、それのあがりが少し多くなったら株にお金を出してくれた人、お金を貸してくれた人にお礼をするというのが日本の文化で、これはアメリカとかヨーロッパの文化と全く違うんですね。
日本人が嫌った金持ちが威張る社会
そうは言ったってアメリカだって、最近国際資本だとかユダヤ資本とか、銀行の横暴だとか言ってるじゃないですか。
だから、お金を持っている人が威張る社会というのはよくないんですよ。
私が大学で研究するときに、最初は国からお金をもらったら、国は全部の権限を要求しましたよ。
通産省が金出してるんだから、武田先生、成果は全部通産省のものですよと、こう言ったんですよ。
だから僕は反論したんですね。
そんなことを言うなら、別にお金を通産省に置いとけばいいじゃないですか、お金だけでは何も生みませんよ。
お金プラス私の頭脳、学校の施設、研究してくれた学生、全部集まってあなたのお金が生きるんですよと。
だから何であなたがお金だけ出したからと言って全部支配するんですかと、こう言ったことがあるんですね。
私が会社にいた時には、従業員の時間は会社のものだって言うんですよ、就業時間中は。
そんなことありませんよって僕は言ったんですね。
それは従業員の賃金を出して従業員に働いてもらっているっていうだけで、時間はあくまでも従業員のものですよって、こう言ったことがありますね。
こういった私の考えは、階級制がなかった日本というものの考え方でもあるんですね。
みんなで働きみんなで楽しみ、1人だけがお金持ちになってもこの世の中ろくなことはない。
そしてお金持ちが他の人をバカにしたりすると。
日本の商法を改正すべき理由
最近はもちろん、新幹線のグリーン車くらいはいいか、いろんな有名な人もいるし、身体の疲れている人もいるからいいかと思いますけども、最近飛行機に乗りますと、4等級に分かれてるんですよ。
1等乗客、2等乗客、3等乗客、4等乗客。
そう言うと刺激的だから、第1グループ、第2グループって券に印刷してありますけど、私なんか第4グループですから、4等乗客と書いてくれたほうがいいですよ。
だって新幹線で切符買う時は、グリーン車だろうが普通車だろうが買う順番は少なくとも一緒に買うんですが、航空会社はもっとひどいんですよ。
ヨーロッパ風の階級制度ですからね。
ステイタスっていうんですけど、ステイタスのある人は別窓口なんですよ。
早く買えるんですよ。
お前ら4等乗客は並べっていうわけで、私なんか30分も40分も待ってるんですね。
こういった日本のいい文化が廃れてくるのは残念ですが、航空会社から直してもらって、それから商法なんかも一部改正してもらって、やっぱりいい日本で生活したいと、私はそう願っております。