
日本人が本当は知らないお金の話
木坂麻衣子
国債を発行してみよう。
三橋貴明 発行しようと思うの。
実は、これをなんでやりたかったかというと、私がこの本を出したでしょ。
ヒカルランドの日本人が本当は知らないお金の話
三橋貴明
たまたま同じタイミングで、中野剛志先生が、評論家の中野剛志先生が、富国と強兵という大著を出されましてですね、
木坂麻衣子
凄いですね。
三橋貴明 その中で、取り上げているテーマが全く同じ。
中野先生の方が、地政学とか幅広いんだけど、お金の部分は全くおんなじテーマで、おんなじような事を書いていて、おんなじ人物を取り上げているというですね、
偶然です、偶然。
例えばアリストテレスとか、アダムスミスとかですね、ジョンロックとか、こっちでも取り上げているし、あちらでも取り上げているしね。
要は、間違った貨幣観を持っていた方々の代表なんです。
という事でですね、中野さんの本の中に、もう一つ面白い話がありまして、それをね、シミュレーションしてみたいんです。
木坂麻衣子
はい。
三橋貴明 中野先生は、富国と強兵の中で、国債の発行の仕方のシミュレーションというか、こういう風に発行されていますよ、というのを説明したんだけど、あんまりこういう話が日本で回らないから、みんな国債について、誤解するんですよね。
国債って、Government debtの方ですね、はい。
よくある、いわゆる国の借金とかと騒いでいる人たちは、今は家計の預金が多いから、それを政府が借りているので、国債を発行出来るけど、そのうち家計の預金が無くなって破綻する、とか言うじゃないですか。
木坂麻衣子
言っていますね。
三橋貴明 言っていますよね。
そもそも、そういう人たちに言いたいんだけど、あなた達、何も知らないね、と。
日本政府は、国債を発行している時、借りているんだけど、それは銀行預金ではありません。
日銀当座預金なんです。
銀行が持っている日銀当座預金を借りているんですね。
で、なんかイメージ的に、私たちって、日銀当座預金と銀行預金って、預金って付くから、おんなじだと思うじゃないですか。
日銀当座預金というは、銀行と政府だけが持っている日銀に対する口座なんですよ。
日銀の中にある口座ですよ。
あの、私たちは日銀当座預金を持っていない。
木坂麻衣子 持っていないですよ。
私、銀行口座、日銀のカードとかって持っていないですもん。
三橋貴明 持てないんです、はい。
という事でございまして、いかなる形で国債が発行されるかというのを、シミュレーションしてみたいんだけどね。
まず、木坂さんに銀行役をやって貰います。
木坂麻衣子
はい。
三橋貴明 銀行なので、当然、日銀当座預金があります。

これね、バランスシートって言いまして、左側の借方に資産、右側の貸方に国債を発行するんですけれども、
今、銀行は日銀当座預金1兆円を持っています。
これを政府に貸すんですね。
木坂麻衣子
銀行って、私は日銀ですね。
三橋貴明 違います、違います。
日銀当座預金というのは、木坂さんが日銀に持っている当座預金なんです。
木坂麻衣子
私は普通の銀行ね。
三橋貴明 そうそう、木坂銀行。
それで私がですね、政府でございまして、じゃあ国債を発行するかという事で、

国債1兆円という事で、これを渡すと。
するとね、何が起きるかというと、この銀行のバランスシートから、日銀当座預金が消えまして、これが国債になる。

国債に代わるんですね。
で、政府のバランスシートがですね、こんな感じになります。

銀行から借りた日銀当座預金が借方、資産に入りまして、それで、貸方、負債の方に国債1兆円というのが。
これは要は、木坂さんから日銀当座預金を1兆円借りているという証明ですよね。
その証明書がさっきの国債です。
そもそもなんで国債を発行して、日銀当座預金を借りたかというと、財政出動をしようとした。
公共投資をやろうと。
建設会社に1兆円発注しようという事で、日銀当座預金を借りたんだけど、これね、建設会社は受け取れないんです。
だって、日銀当座預金を持っていないんだもん。
木坂麻衣子
あ~、はい、はい、はい。
三橋貴明 木坂さんが日銀当座預金を持っていないように、企業も日銀当座預金なんか持っていないんで、借方の日銀当座預金1兆円を、支払いに充てる事は出来ないんです、政府は。
だから1兆円の公共投資を、建設会社がやりましたと。
その時にどうやって払うかというとね、実はね、政府はこの日銀当座預金を担保に、政府小切手というのをね、発行するんです。

木坂麻衣子
へぇ~。
三橋貴明 これでですね、建設会社に、はい1兆円で払いますよとやるわけですね。
そうするとね、企業はこの1兆円の政府小切手を支払いを受けたという形で持つんだけど、これ1兆円の政府小切手なんて持ってたって困るでしょ。
従業員に給料を払えないから、これじゃあ。
木坂麻衣子
うん、まぁね。
三橋貴明
というわけで、政府小切手を持って、木坂銀行に行くんです。
木坂麻衣子
うちね、はい。
三橋貴明 木坂銀行に行ってですね、それでこの政府小切手の1兆円を、

銀行預金にしてくださいと。
木坂麻衣子
なるほど。
三橋貴明 すると、ここに、木坂銀行のバランスシートに、
貸方に政府小切手、今企業が持って来たやつね1兆円。
で、貸方に銀行預金というのが出現するんですよね、銀行預金1兆円。

これは何が行われたかというと、
企業のバランスシートで言うと、借方、資産として銀行預金1兆円。

銀行預金はこれは給料の振り込みに使いますよね。
木坂麻衣子
そうですね、はい。
三橋貴明
あるいは、企業は買い物にも使いますよね、と。
木坂麻衣子
これは普通に現金が入っているやつですよね。
三橋貴明 これは、預金、預金。
あぁ~、今間違えた。
現金が入っていると思っているでしょ。
木坂麻衣子
うん、思ってる、思ってる。
三橋貴明
今、話している話って、全部数字だけの話。
木坂麻衣子
えっ、そう?
三橋貴明
現金紙幣って、一回も出てこなかったでしょ。
木坂麻衣子
はい、はい。
三橋貴明
お金ってこういうもんなんですよ、だから。
木坂麻衣子
へぇ~。
三橋貴明 だから銀行預金で、現金にしたかったら、銀行から引き出せば現金になるんだけど、だって給料なんて振り込みでしょ。
振り込むだけだから、現金が出て来ないですよね。
木坂麻衣子 こっから振り込めばいいって事ですよね。
はいはい、確かに給料袋使わないわ。
三橋貴明 今は使わない。
という事で、これを自分の支払いに充てる事が出来るわけですね。
あるいは、給料の振り込み。
三橋貴明 銀行がどうなるのかというと、

政府小切手を貰って、銀行預金1兆円。
ちなみに、銀行預金って、銀行にとって負債だからね。
こういうのがありましたと。
政府小切手を持っていてもしょうがないから、政府小切手をこれを政府から回収しなくちゃいけないんですよ。
で、政府に持って行くわけです、この政府小切手を。

そうするとどうするかというとですね、政府のバランスシートで、

日銀当座預金1兆円があるわけですね。
これを政府小切手を受け取った、代償としてここにですね、もう一個、銀行に対して日銀当座預金を、厳密には日銀がやるんだけどね、1兆円、という形で政府小切手と交換するんです。

もちろん日銀のバランスシートから、この日銀当座預金の1兆円は消えます。
消えますよねという事で、覚えています?
銀行が、政府に貸しだした日銀当座預金がですね、戻ってくるんですよ。
面白いでしょ、この仕組みって。
木坂麻衣子
なんか、一度聞いただけだと、えっ、えっ、もう一回、みたいな話。
三橋貴明
もう一回見てください。
もう一回見ていただければ大丈夫ですよ。
まぁ、もう一回説明しますよ。
まず、銀行が政府に貸すのは、日銀当座預金預金です。
国債1兆円と引き換えに、日銀当座預金を貸しますよねと。
この日銀当座預金を例えば、財政出動だといって使うんだけど、企業は日銀当座預金を受け取れないので、政府小切手で支払いますと。
企業は、政府小切手なんかを貰ったって使えないから、だから銀行に持って行って、それで自分の預金、預金口座に1兆円を振り込んで貰います。
振り込と言っても、数字を増やすだけだけどね。
そうすると、銀行預金は、企業は支払いとかに使えますねと。
それで、銀行の方はですね、この政府小切手を日銀当座預金に換えると。
もちろん、政府の最初に出した日銀口座預金が、銀行に戻るみたいなイメージになります。
そこの調整は日銀がやるんですよね。
木坂麻衣子
なるほどね。
三橋貴明
日銀当座預金だから、当然、日本銀行が、「分かった、分かった」って事で、政府の日銀当座預金を、えいっって、銀行の借方に移す。
そうすると戻ってくる。
という話なんですよね。
木坂麻衣子
なんか、交換しているうちに、こう戻ってくるというか、

