アメリカ大統領選挙と世界のその後
アメリカ大統領選挙と世界のその後、というお話をさせて頂きたいと思います。
11月3日のアメリカ大統領選挙まで一週間を切り、あとわずかとなってまいりました。
後半戦に入り、トランプの追い上げ報道が目立って来ましたが、支持率という事で言えば、未だにバイデンが勝っていると各メディアは言っています。
しかし、この世論調査による支持率そのものが、信頼出来ない。
そして、全体の支持率と、実際の選挙の勝敗が、直接関係ない、という事も報じられ始めています。
要は、元々、民主党が強い州、元々共和党が強い州、この州を取ったところで、数は変わらないわけです。
それに対して、スイング州。
揺れる州や激戦区でどちらが勝つか、それが勝敗を決める。
つまり、アメリカ大統領選挙というのは、7州前後の州、どちらが勝つかで、殆どの選挙の勝敗が見えてしまうという構造なんですね。
その激戦区においては、今、互角と言われておりまして、実際どうなるか分からない。
隠れトランプ支持者が大統領選挙に与える影響
しかし、トランプ支持者の中には、世論調査にまともに答えない人が多く、前回の選挙でも、大きな支持率と、実際の投票行動の差があったために、互角であれば、トランプ勝利の可能性が高いとされているわけです。
そして、この大統領選ですが、いくつもの混乱が待っています。
11月3日、投票が行われるわけですが、今回、郵便投票が多数存在し、その郵便投票の有効性は、11月3日、消印有効という事になりますので、確実な答えが出てこない可能性があるわけです。
また、ここでトランプが票差をつけて勝てば別ですが、それ以外のケースでは、訴訟合戦になる可能性も指摘されています。
トランプ勝利後の展開
では、トランプが勝った場合、どのような展開が待っているのでしょう。
トランプが勝った場合、これまでのトランプ政権の政策の継承、継続が行われるものと思われます。
中国に対する対応。
そして、ファーウェイ等、中国企業に対する対応。
中東和平。
そして、アジアにおける安全保障の位置づけなど、今まで通りの展開が待っているわけです。
日本政府としても、インド太平洋戦略という対中防衛網を引く上で、アメリカのトランプ政権が勝利することが望ましいとしています。
また、日本企業にとっても、これまで共和党との間、そして、民主党との間。
民主党はこれまで、日本企業に対して、冷たい対応を続けて来ております。
トヨタのプリウス問題が起きたのも、アメリカの民主党政権であり、共和党であれば従来通り、予定通りの政策が打てると言えるわけです。
バイデン勝利後の展開
それに対して、もしバイデンが勝ったらどうなるのか。
バイデンが勝利した場合、トランプはなかなか敗北を求めない可能性があります。
そしてアメリカの政策、アメリカの政権は、不安定化する事が確実です。
この不安定化した就任式までの間に、中国が南シナ海や様々な紛争地域で、トラブルを起こす可能性も指摘されているわけです。
明確な指導者がいない状況において、中国というのは、ここで権力の拡大を狙ってく来る可能性も高い。
そして、国際機関に対する中国の侵略行為は、更に進む可能性も高い。
その意味で、中国の拡大を阻止するためには、トランプの勝利が必要で、バイデンが勝利した場合、この点での問題、どうなるかが分からない。
そして、経済政策においては、バイデンの政策は、給付型の政策であり、左派の典型的な政策でもあるわけです。
バイデンの言っている政策の多くは、自然エネルギー、最低賃金引上げなど、実際にその運用にあたって、様々な問題が出てくる政策が多く、その内容というのは、現在韓国の文政権が出しているメニューと、ほぼ類似している。
という事はどういう事になるかと言えば、失業率の拡大も予測される。
また、ブラック・ライブズ・マター「BLM」など、デモ、集会の暴力的な活動に対しても、肯定的な意見をこれまで述べており、全米全体の治安の悪化の懸念も出ているわけです。
そのような中で、アメリカでは銃や弾を購入する動きが強まっています。
11月3日 バイデンの敗北が確定しない場合
11月3日の開票時点で、バイデンの敗北が確定すれば、今まで通り安定しますが、ここで確定出来なかった場合、様々なリスクが待っていると言えるわけです。
そして、日本との間の、インド太平洋戦略に関しても、軍に否定的な民主党は、これを前に進めるかどうかは分かりません。
そして、過去の例を見ても、中国との間での関係がどうなるかも不透明であるわけです。
現在の南シナ海問題や、香港問題など、これはオバマ政権における、中国融和政策が、大きな原因であり、これが中国の膨張を許してしまったとも言えるわけです。
この状況の中で、バイデンは外交政策に対して、明確な指針を示しておらず、民主党内も一本化出来ていない為、どのような政策が取られるか、不透明感が漂っています。
このような状況において、中国の暴走も予測されているわけです。
更に言えば、明確な経済政策が無い。
逆に言うと、経済活性化政策が無い民主党が勝利した場合、アメリカの経済の混乱が予測されます。
また、治安悪化などによる内政の混乱も予測されます。
このような状況で、大統領がハンドリングを強める為に一番簡単な方法は、外部に敵を作る事。
その意味では、中国の暴走と相まって、アメリカの政治の不安定化が、世界的な紛争要因となる可能性が高いと言えます。
また、中東を巡る問題でも、トランプが行ったイランへの制裁。
そして、かつてのサウジやUAEとの融和。
これが、再び逆転する可能性が出ているわけです。
トランプは、これまで新米国であったサウジやUAEとの関係を再び強化し、イランを排除する方向に動きました。
これは、オバマ政権の巻き返し、逆転政策であり、これが再びイランを認める方向に動くとなれば、UAEやサウジの大反発が予測され、今行われている中東和平が再び白紙化する可能性もあるわけです。
暴力的で乱暴と思われているトランプ大統領ですが、実際任期中において、大規模な戦争、紛争行為は一切しませんでした。
小規模の戦闘は起きたとしても、基本的に軍事の縮小を進めていった、というのがトランプ大統領の特徴でもあったわけです。
一部、 海軍力などの強化と同時に、陸軍を撤退させていく。
この戦略がうまく行かなくなる可能性が高いと言えます。
歴史的に見れば、民主党政権下で戦争を引き起こし、共和党で終わる、という長い歴史があり、特にトランプの場合、戦争をしなかった大統領であり、この政策の反転は、大きな世界的なリスクになる可能性が高いと言えます。