米国が明らかにした中国排除の方針
体制選択の時、ファーウェイから見える米中新冷戦という事について、お話をさせて頂きたいと思います。
現在、アメリカはですね、世界各国と貿易交渉、貿易協議というのを行っています。
まずアメリカは、アメリカの自由貿易圏であるNAFTAと言われる、メキシコや、カナダなど周辺国との貿易協議を始めました。
そしてこれは合意に至りました。
そして、ヨーロッパとアメリカとの間の貿易協議も、現在行われています。
そしてなんと言っても、米中の貿易協議も現在行われており、遂に、日本との貿易協議も始まろうとしているという状況にあります。
このアメリカ側との貿易協議においては、全て1つの文言、一つに条件が付けられています。
それは、いわば名指しこそはしないものの、中国を指した言葉であり、国営企業による歪みであるとか、いわゆる知的財産権に関する保護とかですね、
中国が今まで守ってこなかった、そのような国とお付き合いしてはいけません、という条項、これがポイズンピル、毒薬条項として含まれているわけです。
その毒薬条項が入った案件を、アメリカは世界中の国々に、アメリカを選ぶのか、中国を選ぶのか、という2者択一で選択させようとしている。
冷戦終結以降、世界はワンワールド、グローバル化という形で、一つになろうとして動いて来た。
これを、一気に踏み絵を踏ませて切り離そうとしているのが、今のアメリカと、他国との貿易協議と言えるでしょう。
ファーウェイ排除に隠された壮大な理由
そして、その最前線にあるのが、ファーウェイ問題という事になります。
アメリカは、同盟国に対して、ファーウェイを使うのであれば、アメリカと軍事情報の共有はしない。
場合によっては、データリンクを切ってしまう、としているわけですね。
アメリカと、データリンク、アメリカの軍事情報とデータを切られてしまうと何が起こるかというと、NATO群の殆どの飛行機や、殆どの艦船が、機能不全に陥る事になるわけです。
これは、日本も同様です。
そのような厳しい条件をつけて、アメリカは、アメリカを選ぶのか、中国を選ぶのか、という踏み絵を踏ませている。
なぜ、ここでアメリカはファーウェイをまず最初にやり玉に挙げたかという事になります。
5G覇権戦争で本気になった米国
戦争において、最も重要なのは、情報です。
情報が、戦争の勝敗を決めます。
このプラットフォームを、中国側に取られてしまう。
これは、非常に軍事的に危険であると、アメリカが考えたからなんですね。
2012年、アメリカの軍のシンクタンクは、ファーウェイやZTE、中国製通信メーカーによる軍事スパイ行動が行われているのではないか、というレポートを出しました。
そこから、アメリカのファーウェイ、ZTEへの監視が始まって行きます。
そして今回、これまでの4G、第4世代と言われるものから、5G、第5世代という、新しい規格への切り替えが世界中で起こる事をなったわけです。
これまでの4G、4Gといのは、基本的にスマートフォンのように動画を送れたり、今どこで何をしているかというサービスが受けられる。
これが、いわゆる4Gのサービス。
それに対して5Gというのは、何が違うのかというと、これまでが単線の一般道路だったものが、高速回線になり、そして、情報だけではなく、医療や電力やスマートグリッドや自動運転という全てのインフラと繋がってしまう。
これを中国に取られるという事は、いわゆるテロが出来てしまう。
この環境を、アメリカと共有させてはならないという強い意志が働いているわけです。
日本に突きつけられる米国と中国の踏み絵
そんな中、日本においても、未だに中国とビジネスが出来るのではないか。
これまで通り、もっと中国からご飯を頂けるのではないか、などと考える甘い経営者が多いのが事実ですが、もうアメリカはそれを許さないとしておりまして、アメリカは中国を選ぶのか、アメリカを選ぶのか、どちらかにしろ、というのが強い要求になるわけです。
これから始まる日米の貿易協議においても、アメリカは、この条件を日本に厳しく突きつけて来るでしょう。