ファーウェイ問題の真相
今日はファーウェイ問題について、お話をさせて頂きたいと思います。
5月16日、アメリカ大統領トランプは、ファーウェイに対して、非常事態宣言を出して、IEEPA法、国際緊急経済権限法という法律によってですね、ファーウェイに対して、アメリカ企業が技術や製品を販売してはならないという、大統領令に署名しました。
これにより、アメリカ企業や、世界中のアメリカ原産の技術を使っている企業は、ファーウェイとの取引が、非常に難しくなりました。
また、これに対しては、ファーウェイだけではなく、ファーウェイの日本法人を含む69社に対しても、同様の処置が取られる事になっています。
この法律、IEEPA法による制限がかかると、何が起こるのか、という事になります。
かつて、世界にはCOCOM(ココム)という共産圏に対する輸出規制をする機関がありました。
しかし、この期間は、東西冷戦の終結によって、無くなりました。
しかし、ワッセナー・アレンジメントという形で、いわゆる武器輸出禁止国、アメリカが重要な脅威と考えている敵国扱いの国に対しては、未だに武器や、武器転用技術を売ってはいけないという法律は残り続けたわけです。
そして、この審査に関しては、今も行われています。
ファーウェイを安全保障上脅威の対象と認定
今回、アメリカがファーウェイを、この安全保障上脅威の対象である、と加えた事によって、アメリカの企業は、ファーウェイに技術を輸出できなくなり、同時にアメリカ原産の技術を使っている日本や世界中の企業が、ファーウェイに技術提供できなくなったという事です。
このEAR規制というのですが、
この規制に違反した場合、日本企業もアメリカから制裁を受けることになります。
この制裁違反をした場合、DPLというリストに加えられて、
DPLというリストに加えられた場合には、企業が国際決済、国際的な資金のやりとりや、いわゆる上場企業などとの取引が出来なくなってしまうわけです。
ファーウェイと取引する企業は倒産も覚悟せよ
つまり、ファーウェイと取引した場合、最悪、企業が潰れる事になります。
また、この規制には、いわゆるみなし規制、再輸出規制、最終消費規制というのが含まれていて、みなしというのは、人への供与もその対象となるわけです。
例えば、日本企業が中国人を雇用して、アメリカの通信技術に対する研究をしていた。
例えば、5Gなどにおいては、それが多数行われていますが、これをアメリカの許可なく今の雇用関係を継続すると、日本企業がアメリカから制裁を受けてしまうわけです。
これは、大学や研究機関、企業以外のものにも適用されます。
そして、現在は、これはファーウェイなどの通信に限定されていますが、これがアメリカの法改正によって、昨年出来たECRAという法律によって、先端技術分野、全てに拡大される恐れが出ているわけです。
アメリカは法律で、最先端技術の分野と、いわゆるインフラ等に係る分野に関しては、中国に対して、製品を売れなくする、技術を移転できなくするという法律を作りました。
これは、アメリカの法律です。
ですから、通常通りであれば、年内にこの規制が段階的に行われていく事になるわけです。
つまり、今後日本企業は、最先端の分野などで、中国との共同研究も出来なければ、共同開発も出来なくなる可能性が、非常に高い。
そして、この始まりを告げるのが、このファーウェイ規制であると言えるわけです。
日本企業のみなさん、これに対する対応は、出来てますでしょうか。
これに違反した場合、最悪、企業は倒産します。
企業の短期的な利益と、企業の倒産、これを秤にかけた場合、企業倒産の方が、リスクが大きいと言えるわけです。
早い段階で、中国との共同開発を止めないと、アメリカによって、膨大な制裁がかけられる可能性が出て来た、これがこのファーウェイ問題の真相と言ってよいのでしょう。