米国が強化するファーウェイ・中国潰し
米国が強化するファーウェイ潰し、中国潰しの動き、という事について解説をさせて頂きたいと思います。
昨年の5月15日、アメリカのトランプ大統領は中国の通信企業、ファーウェイに対して、エンティティ・リストに掲載し、輸出規制をかけると致しました。
これに中国政府、ファーウェイ共に大反発し、これがどうなるか注目されていました。
そして、この処置に関しては、あくまでも1年間の処置という事で、これが継続されるかも注目されていたわけです。
米国政府が設置したECRA
その一方、アメリカ政府はECRA(米国輸出管理改革法)という新たなCOCOMとも言える厳しい輸出管理制度の設置を進めてきました。
ファーウェイに関して、5月15日、これが1年延期される事になったわけです。
更に今回は、ファーウェイの規制に対して厳格化も行われました。
現在、アメリカが輸出規制の対象と出来るのは、アメリカ原産割合25%以上の物、という事になります。
当然、アメリカ製品と同時に、アメリカの技術を25%以上採用したものに関しては、外国からの再輸出も禁止しているわけです。
しかし、25%ですと、日本や台湾、様々な国々が作る他の製品が輸入出来るようになってしまいます。
この穴を塞いだのが今回の新規制という事になるわけです。
米国技術のファーウェイ販売を全面禁止
米国の技術を使っている物全てをファーウェイに輸出してはいけない、となったわけです。
これにより、日本や台湾などのメーカーも、アメリカの技術を利用した物は、ファーウェイに販売出来なくなります。
その一方で、アメリカ政府は、台湾のTSMCという世界最大のファウンドリ、半導体生産メーカーとの提携も進めてきました。
アメリカ政府は、台湾TSMCに対し、アメリカの軍事半導体など、全てを購入するので、アメリカに工場を作ってほしい、と依頼し、台湾TSMCはこれに応じる決定をしました。
アリゾナに120億ドルをかけ、新たな工場を建設する、としたわけです。
現在、世界の半導体は最先端プロセス、5ナノメートル、というものに挑戦しています。
これに対応できるのは、台湾のTSMCとサムスンのみ、という事になるわけです。
しかし、技術的には、台湾TSMCが、一歩も二歩も進んでいるとされており、世界最高の半導体ファウンドリ、それが台湾TSMCだったわけです。
そして、中国企業も最先端のCPUに関しては、この台湾TSMCに生産委託をしてきました。
その最たるものがファーウェイです。
米国 本気のファーウェイ包囲網
ファーウェイの最新チップ、これは台湾TSMCが生産しており、台湾TSMCがチップの輸出を止める事で、ファーウェイはチップを購入できなくなってしまう。
つまり、スマホなどが作れなくなるわけです。
また、世界中に売っている5G関連設備も、販売出来なくなる可能性が高い。
つまり、アメリカとしてはファーウェイを潰すのに、「採用するな」ではなく、「ファーウェイの物を作らせない」という極端な決定をしたと言えるのでしょう。
また、中国としては、それに対抗する形で、国内での半導体生産を進めようとしていましたが、この国内での半導体生産も、
「オランダのASMLという最新鋭のプロセスに対応した半導体製造機器メーカーに半導体の製造機器を販売してはいけません」
とした事によって、オランダから半導体製造機器が買えなくなった為に、最新鋭のプロセスには対応できないわけです。
そしてまた、半導体そのものの基本設計は、イギリスのarmという会社が持っており、ここもアメリカに会社がある為に、armの半導体の基本技術は使えない。
そして、半導体を設計する為には、EDAという半導体のCADに該当する半導体設計支援メーカーの協力も必要です。
この半導体設計支援メーカーは、大手3社に殆ど牛耳られているわけですが、この3社ともがアメリカ企業。
つまり、半導体そのもの、半導体設計、そして製造。
これら全てを規制する、としたわけです。
これにより中国は、1世代、2世代古いCPUや様々な半導体を作ることは出来ますが、今後、新たな半導体や、最先端の技術を利用した様々な物品が、作れなくなる可能性が高まっていると言えるでしょう。
そしてこれは、日本企業も対象となっており、日本企業であっても、アメリカの技術を利用したものに関しては、ファーウェイに販売出来なくなりました。
現在その対象は、ファーウェイだけですが、今後、中国企業全体に、この流れ、この動きが広まるものと予測されます。